【義経千本桜】俳優インタビュー③|榊原毅

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『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第三回は榊原毅さんです。

2016年5月10日 急な坂スタジオにて収録

異なる演出家の木ノ下歌舞伎作品を観て

木ノ下歌舞伎の芝居を初めて観たのが2015年、こまばアゴラ劇場での杉原邦生さん演出の『黒塚』なんですけど、すごく面白くて。歌舞伎っていうものを現代風にアレンジというか、歌舞伎の題材を利用して「別の何か」を立ち上げていたという印象を受けました。特に残っているのが、シンデレラの曲がかかるシーン。あそこで泣いちゃいました。多分、歌舞伎の同じシーンを観ても泣かないと思うんだけど、木ノ下歌舞伎の上演はお客さんを心地よく誘導してくれる感じがあったなと。
そのあと観た糸井幸之介さん演出の『心中天の網島』もよかったです。歌舞伎の強さ、言葉の強さ、木ノ下歌舞伎のカラーの強さがあって、演出家は違っても、「木ノ下歌舞伎の作品をみてる」って印象がありましたね。

予想通りの配役と想像の上をいった“完コピ”

稽古の前はただ単純に楽しみでした。「一体何をやらされるんだろう…」とも思ってましたけど(笑)
最初に配役を聞いたとき、やっぱりなと思いました。このメンバーを考えると、まず間違いない(笑)。でも、渡海屋・大物浦の場よりも前のシーンのこと知って、自分と似てるところがあるのがわかって、名前から思い描いていたイメージから少し変わりました。今は素でやっているかも(笑)
完コピについては、いざ取り組んでみて、思っていたのとだいぶズレてたっていうのはありますね。台詞の長さや抑揚までちゃんとコピーするとか、あそこまで突き詰めるものだとは思っていなくて。それが逆に面白かったです。歌舞伎の動きや台詞まわしを実際に真似てみて、難しいけど楽しいなと思いました。身体もそうだけど、あの発声の仕方というか…あれは独特ですよね。それに一朝一夕じゃないんだなと身を持って知りました。次こうして…って頭で考えてやっていたらできないですから。一つ一つ丁寧に真似るのは意味のあることだなと。重ねていくことで、馴染んでいくものだと思いました。

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全員でドラマを積み上げていきたい

この現場では、皆で「渡海屋・大物浦」を立ち上げて、クリエーションする感じがすごく面白いんです。ほんと、みんな勉強家だしね。「俺が!」っていうんじゃなくて、全員で作品を立ち上げていけたらいいなと思っています。全員でドラマをつくっていって、最後のシーンに繋がるようにしていきたいですね。

sakakibara榊原毅 Sakakibara Takeshi

1976年生まれ、栃木県出身。1997年に三条会旗揚げに参加。現在はフリーとなり様々な方面に活動の場を広げている。主な出演作に、シアターコクーン『禁断の裸体』、DULL-COLORED POP『夏目漱石とねこ』、キラリふじみ『奴婢訓』『ハムレット』、Théâtre des Annales『従軍中のウィトゲンシュタインが(略)』、 三条会『ひかりごけ』『三人姉妹』、鳥の劇場『天使バビロンに来たる』『葵上』など。
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