【義経千本桜】俳優インタビュー④|佐藤誠

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『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』公演に向けて、出演者の生の声をお届けします。
第四回は佐藤誠さんです。

2016年5月11日 急な坂スタジオにて収録

完コピ、二回目で気付いたこと

木ノ下歌舞伎は二回目なので、ゼロから始めたというより…“イチ”から始まりましたね(笑)二回の完コピを経て気付いたのは、歌舞伎っていろんな動きに意味があって、動きが心情を表していますよね。普通の演劇だと台本を手がかりにして、今すごく怒ってるのか、ちょっと怒ってるのかを推理したり、自分で勝手につくってやったりする。でも歌舞伎は、<動き>で、この人はどのくらい怒ってるかが、はっきりあらわれている表現だと思うんですよ。だから歌舞伎のほうが、輪郭がはっきりしてますよね。

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身体を通して過去に生きる人を体現する

当時の人間関係とか親子関係とか、想像つきにくいじゃないですか。しかも位が高い人達は余計に、わからないことが多い。一番わからなかったのは、さっきまで殺しあってた敵味方が和解するきっかけが、天皇だってこと。情報として、天皇が大事な存在だっていうのはわかるけど、今の感覚では理解し難い。それがどれくらい絶対的なことなのかとか。
でも、皆で歴史の勉強をしたり、稽古していくうちに、そういう精神性があったんだろうと多少納得ができてきて。今の自分の感覚でも理解できるものがあるというか、なんとなく肌感としてわかった感じがします。
その一番のきっかけは、完コピで実際にやってみて実感したということが大きいんですよね。身体の状態が辛かったり、悔しかったり、いい感じだったりすることによって、わからないことも乗せられるというか…。まず頭で考えるんじゃなくて、わからなくてもやってみたのがよかったような気がします。体にのっけてみて、その状態になってみたら自然に反応するというか。自然に許せたり「ああ、そういうことなのか」と納得できる面はありますね。肉親とか親まで捨てたのに体制に裏切られたり、殺したりっていう、そういうことになる社会っていうのが今はだいぶ想像しづらい。その上で「こんな時代があった」ということを、今の人にどう届けたらいいか。そんなことを考えながら稽古しています。

sato佐藤誠 Sato Makoto[東京デスロック青年団渡辺源四郎商店]

1975年生まれ、青森県出身。東京デスロック、青年団、渡辺源四郎商店に所属。過去10年間で舞台約50演目に出演。主な出演作品として東京デスロック『再/生』『카모메 カルメギ』、渡辺源四郎商店『あしたはどっちだ』『河童』、青年団『ソウル市民1919』『この生は受け入れがたし』『新・冒険王』、五反田団『生きてるものか』、木ノ下歌舞伎『義経千本桜』など。

所属事務所|中野笑店
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