【勧進帳】俳優インタビュー②|高山のえみ

『勧進帳』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第二回は高山のえみさんです。

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二回目の参加で改めて気づいた、完コピの難しさ

木ノ下歌舞伎への出演は『東海道四谷怪談−通し上演−』に続き、二回目となります。前回は歌舞伎に対してまったく無知だったので、何もかもが挑戦でしたね。ただ完コピに関しては、私の役の一つ(小汐田又之丞)は映像が現存してなかったので、オリジナルというか、雰囲気でやっていることが多かったんです。だから今回完コピを経験して、あれは本当に無謀なことだったんだなと恥ずかしくなりました!知らないからこそ出来たのかもしれません。
特に今回完コピをするのは、カチッと型が決まっている義経だったこともあり、余計に難しかったですね。まず歌舞伎役者さんが長年かけて身に付けてきた、動きや台詞があります。動きに関しても立ち方然り、台詞をかける相手の顔や体の向きとかも自然ではないし、現実とは違うじゃないですか。「こういう様式なんだ」とあまり考えすぎずにやっていましたけど…そういえばダンスと似てますよね。意味じゃない、理屈じゃないという感じが。

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義経を勤めるにあたり考えること

今は完コピを終えて杉原さんの演出が入って、他の役との関係性が見やすくなりました。主従関係も、意識しやすい。現場は常に「こういうアプローチもあるね」と演出が変わっていくので、創作している感じがすごく楽しいです。杉原さんから紡ぎ出される言葉もそうですし、時代を超えているなと思います。それから義経って“英雄”とかいわれてますけど、その部分じゃない、義経の寂しさをすごく感じています。ただ、その感情を昔の人は「悲しい」ってストレートに出さないと思うし、どう処理していたんだろうと考えてしまって。忠義とかが重んじられて、常に死が迫っている時代の中で、現代なら喜怒哀楽も自由に出せますけど、どこまでその寂しさや悲しさを出したんだろうっていうのは難しいところですね。あと“大”歌舞伎の第一弾の演目である渡海屋(多田淳之介演出『義経千本桜−渡海屋・大物浦の段−』)を今、すごく思い出すことが多いです。義経が抱えている孤独とか、一人の人間として繋がったし、あの状況があっての今なんだなと思いました。

最終的に、お客様に委ねることで作品を完成させたい

私は自分の性別を男でも女でもない、ニューハーフだというつもりで俳優をやっているので、今回お話をいただいたとき、自分と違う性別、しかも実在の人物ということで、自分から離れた存在を演じるのは面白いと、単純に嬉しく思いましたね。でも舞台の上にのって、お客様がどう捉えるかって、人それぞれな気がします。だからここを女っぽくみせようとか、男らしくとか演じるより、いま台本をいただいて、義経を感じてやればよいと思うんです。リーさんも私も個性が強いから、絶対ボーダーラインは見えるので、そのときにお客さんがどう受け止めてくれるかっていうのが大事だし、委ねたいなと思っています。
本番では、私たちしか作り得ない『勧進帳』だっていうことはもちろんですけど、お客様がどこで心がのったとか、面白いと思うのかが、すごく多様なのではないでしょうか。多分いろんなものにみえてくるし、いろんな捉え方がある作品だと思います。皆さんの目を通して、この作品が完成されたら嬉しいですね。

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高山のえみ Takayama Noemi
1977年生まれ。東京都出身。性別適合手術、豊胸手術を受けたニューハーフであり女優。主な出演作に、parco produce『いやおうなしに』(15年)、FUKAIPRODUCE羽衣『よるべナイター』(14年)『イトイーランド』(16年)、TXドラマ24『初森べマーズ』(15年)など。木ノ下歌舞伎作品には『東海道四谷怪談―通し上演―』に出演。

所属事務所|krei.inc

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