【東海道四谷怪談ー通し上演ー】俳優インタビュー①|箱田暁史

『東海道四谷怪談ー通し上演ー』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第一回は箱田暁史さんです。

2017年4月18日 森下スタジオにて収録

「死ぬ瞬間に一番生きている」役

木ノ下歌舞伎には初参加なんですが、『黒塚(2015年)』『三人吉三(2015年)』『義経千本桜―渡海屋・大物浦―』と観てきて、すっかりキノカブファンですね(笑)。まず完コピをやっての感想ですが、お手本ビデオの歌舞伎俳優さんが非常に細かくてびっくりしました。小道具の置き方も次の所作がやりやすいようにとか、鳴物のタイミングと動きを合わせることで邪魔にならないようにとか、自然なようですべてが考え尽くされていて。動きの一歩、二歩が効果的で無駄な動きが何もない。そういう所に感銘を受けましたね。完コピをやったことは、俳優として得るものが多かったですし、感情の運びとか、芝居の見え方が変わりました。
歌舞伎を劇場では観たことがないんですが、亡くなった勘三郎さんが演じていた『法界坊』をテレビで観て、「歌舞伎って面白いんだな」って思いました。極悪人の役なのに、キュートで格好良くて。すごく魅力があるし、格好良くて悲しい。どこか今回僕が演じる直助と共通するところがある気がします。世間的にはひどいことをしている人が、自ら幕を引くところとか、「死ぬ瞬間に一番生きている」みたいな感じとか。お話をいただいてからコクーン歌舞伎の『四谷怪談』(2016年)も観たんですが、勘九郎さんが直助役で、お父さんと同じでキュートさがあって、観客に愛されていると感じました。なので、今回も直助が可愛く見えたらいいなと。やっていることはひどいですもんね。

自分と似ていることに甘えずに

コクーン歌舞伎を観てなるほどと思ったんですけど、与茂七はテロリストで、伊右衛門は一番現代的な人間だなって感覚があったんです。状況に流されて殺人もしてしまうし、主体性がどこにあるかわからない。一方、直助というのは「殺すぞ」って決めて殺すし、「口説くぞ!」って決めて、口説く。そして「死ぬぞ」と決めて自分で死ぬ。そういうわかりやすさというか、一種何か筋の通ったところがあるんじゃないかなと。なんで殺人がバレないと思っているのはわからないですけど(笑)。強気に生きているところ、「何とかなるっしょ」っていうところがある人なんだと思います。個人的なことですけど、僕と似ているところもあると思うんですよ。どうなるかわからないまま一歩踏み出す、とかいう感覚はなくて、結果を先に決めて、思い込みでガッていく。「できる」っていう未来の事実を先取りするというか、迷いがないというか…仕事ではそうできているかはわからないですけど、恋愛とかの面では似ているかなと思いますね。でも似ているというのは危ないとも思います。これは僕だ!みたいなことではなく、あくまで直助の役作りとして、そういう似ている部分をとっかかりに、色んなことを足したり引いたりできたらなと思っています。

遠いところまでお客様をお連れしたい

大きなことになってしまいますけど、現代っていいとこだけを取り上げられることが多くて…デオドラントされたもので溢れているというか。だからフィクションの世界くらいは、普段の生活で見えづらいところを目の当たりにしていただければと。芝居を観ながら、距離の遠いところまで行って、劇場を出た時に、ドロドロしたものというと陳腐ですけど、「すごいもの観たな」と感じて日常に戻っていただきたいです。上演時間も長いですし、遠いところまでいける。この作品が現代人にも届くよう、ちゃんと「僕らの話」にしていくので、楽しみにしていてください。

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