【東海道四谷怪談ー通し上演ー】俳優インタビュー③|田中佑弥

『東海道四谷怪談ー通し上演ー』公演に向けて、出演者の生の声をお届けします。
第三回は田中佑弥さんです。

2017年4月18日 森下スタジオにて収録

「演劇」として挑めた再演の稽古


今回は初演(2013年)を経て、その後『三人吉三』(2015年)にも出演しましたし、他の木ノ下歌舞伎の作品も観ていたので、だいぶ意識が変わりましたね。初演の時は歌舞伎に対しての知識もなかったし、どう演じればいいのかという戸惑いもありました。でも今回は完コピ稽古に挑むときも、型にとらわれたりせず「演劇を作る」というクリエーションの姿勢で臨めました。あと歌舞伎のセリフに戻ってみて、発見もありましたね。お手本の映像も細かく見られるようになって余裕ができたせいか、初演の時には気づかなかったこともありました。「こうなってたんだ」というような。歌舞伎の見方も、初めてのときよりハードルや壁はなくなりました。

与茂七の多面さを掘り下げたい

今回、与茂七という役に改めて向き合ってみて、この作品では伊右衛門、与茂七、直助が対照的な立場にあるけど、そのスタートは3人とも同じなんだなと気付きました。元々は同じ家だったのに、お家取り潰しになってから、伊右衛門は浪人として再就職先を探すし、直助は町人になるし、与茂七は武士であることにこだわって仇討ちに参加する。同じお家取り潰しの目にあっても、違う道を選んで、違う末路を辿っていくことになる。それを単純に「設定です」といっても面白くないですよね。その選んだ道に対してどのような感情を持っていたのか、なにを思って、どういう選択をして今ここにいるのか、というのが役の芯になっていくと思います。きっと互いに対しても何か思うことがあると思います。そういったそれぞれの感情というか、その三人の違いがどう出るかっていうことが大事な気がします。
あとは与茂七って多面的な、いろんな顔を持っている。夫として、武士として、という顔もあれば、世を渡るための町人としての顔もあるし、その中にもそれぞれ表と裏がある。「今はどの顔なのか?」ということを整理しなければなと。お袖との関係性にしても、まだちょっと手探りなところもありますけど、夫婦間のズレみたいなものをうまく取り出せたらなと。この二人って、一番大事なところを共有できていないというか。でも、できないのかしたくないのか……。結構複雑ですし、それによって対直助との関係性も変わってくる。ただの恋敵だけじゃない部分も拾いたいですね。

6時間の「現代劇」をお見せしたい

たとえば場面によって、いかにも歌舞伎っぽく流して見せてしまっていいのか、それとも丁寧に拾った方がいいのかという選択を、これから邦生さんや(木ノ下)先生と相談しながら選択していくと思います。歌舞伎だから成立することもありますし、そこを勢いだけでやってしまうと、“それっぽく”見えてしまうのが怖いので。そのあたりを一回疑って、ほぐしながらやっていきたいです。見えているものと、実際に行われていること、それぞれが思っていることがズレているところがこの作品の面白味だと思いますし、6時間の「現代劇」をお見せしたいです。

キャストプロフィールはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です