【東海道四谷怪談ー通し上演ー】俳優インタビュー⑥|小沢道成

『東海道四谷怪談ー通し上演ー』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第6回は小沢道成さんです。

2017年4月21日 森下スタジオにて収録

キノカブを観て、この形がベストだと思えた

一番最初に観た木ノ下歌舞伎の作品が『黒塚』(2015年)で、本当に面白くて衝撃的でした。昔から歌舞伎や古典には興味があって、特にここ数年は観劇する機会が多かったのですが、どうしても知識不足からかついウトウトしてしまうことも少なくありませんでした。でも初めて木ノ下歌舞伎を観たときに、邦生さんの演出や、木ノ下さんの方針が、すっと入ってきて。例えば、現代の言葉に言い換えたりすることで、より分かりやすく感情移入が出来るというか。歌舞伎の物語を僕も含めた今の若者たちに伝えるには、この形は素晴らしいと感じました。
稽古の前に今回の『東海道四谷怪談』の原作を読んだんですけど、歌舞伎の話って読み解いていくと、現代でつくられている物語よりも、もっとわかりやすくて、構成だけでも目が離せなくなるくらい面白いんです。このお話も以前はなんとなく〈怪談話〉というイメージがあったんですけど、これは、人間ドラマ且つエンターテインメントだと思います。戸板返しとか、ネズミや蛇が出てくること、顔が変形するなど、それってエンターテイメントの考え方に思えて。お客様を楽しませようとしているし、且つドロドロしている。こう言うとチープですけど、“ぶっ飛んだ大河ドラマ”を観ているような。視覚だけでも楽しめる要素は原作の時点で満載なので、海外で上演しても喜ばれるんじゃないかと思います。

経験してわかった完コピの必要さ

実は(歌舞伎の)完コピ稽古をやるとき、最初はあまり気持ちが乗らなかったんです。資料をそのまま“真似る”という行為に抵抗がありました。不自由さを感じるというか。でもやったらすごく必要なことだなとわかりました。まず完コピする資料そのものが、何十年、何百年と受け継がれているものじゃないですか。それを真似することによって、ある意味受け継ぐというか、なぜこの言葉の抑揚、喋り方になるのかを考えると、その心が勝手に出来上がってくるんです。その状態から、どんどん僕自身のやりたいことも膨らんでくるんです。完コピ稽古用の台本から今回の上演台本になった時も、解放された感覚はあっても、ここだけは絶対逃さない方がいいという感覚がきっちり心の中に染み付いている気がして。
お色さんは、完コピ稽古で見た歌舞伎の映像では亡くなった(中村)小山三さん[二代目]が演じてらしたんですけど、その演技を拝見したらなおさら、改めて忠実にお役を勤めようと思いました。小山三さんの演じたお色さんの動き、感情の流れをやっているのは今地球上で僕だけと思うと、小山三さんがどこかで見てくれているような気がしました。
(もう一役の)又之丞さんのお役に関しては完コピの資料がないんですが、共感できる感情が台本にもあるので、そこを頼りに作っていければと思っています。

面白いものしか持っていきません

上演時間6時間と聞くと、全く知らない人にとっては、とっつきにくい演目だと思うんですよ。でもこれがびっくりで、長い時間が苦手な僕も木ノ下歌舞伎は見れちゃうんですよね(笑)。しかも演出の邦生さんって、面白いもの、つまらないものというジャッジについて、動物的な感覚をおもちなんだと思います。その感覚がより多くのお客さんが感じそうなことというか。稽古場全体が今そういう感じなので、本番までに絶対つまらないものは出さないだろうし、面白いものしか持っていかない。ちゃんと休憩もあるし、たまには半日くらい芝居に浸ってもいいんじゃないですかと言いたいです(笑)。『四谷怪談』って、一言で言ってしまうと、単純に「誰かの“好き”という感情から発生している物語」だと思うので、全く難しくないし、ただ楽しんでいただければ。人が何かに執着したり、何かを成し遂げたいと思ったり、夢中になったり、夢を追いかけたりとか、ちゃんと人が何かに向かっている姿がかっこよくも切ないと思うので。僕自身もどんな作品に仕上がるのか楽しみですね。

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