『黒塚』をもっと楽しむ!〜出演者インタビュー~
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—大柿さんはオーディションを受けてくださって、今回参加していただくことになりましたが、応募のきっかけを教えていただけますか 木ノ下歌舞伎には前から興味があったんです。それから私事なんですが、最近現代口語演劇っぽい台本をやる機会が多かったので、そういった意味でも新たなジャンルに挑戦したいなと思ったんです。 —オーディションそのものはいかがでしたか 楽しかったです!久しぶりに体を動かせたことがよかったですね。オーディションのワークの中で、ゆっくり立ち上がって、ゆっくり歩くっていうのがあったんですけど、スローモーションのように動いているとき、心を落ち着けられたというか、座禅みたいな感じで(笑) —では出演が決まったと聞いたときは… すごく嬉しかったです!「きた!木ノ下歌舞伎!」って感じでテンションあがりました(笑)。 —共演者の四人の方もとても個性的な方々だと思いますが、ご一緒してみていかがですか まず最初はびっくりしましたね。このタイミングで、普段舞台で観ている方々と共演できると思っていなかったですから。 —でも今ではすっかり溶け込まれていて… そう見えているのであればよかったです(笑)。 —完全コピーという、木ノ下歌舞伎では恒例なのですが、歌舞伎俳優の動きや台詞の抑揚をコピーする稽古方法はいかがでしたか すごくやってよかった、重要だと思いました。一回古典を身体に染み込ませていると、状況やニュアンスをしっかり理解した上で現代語にも直せますし。稽古で邦生さんから「ここから現代語で」「歌舞伎で」というオーダーが出たときに、(完コピを経ていると)反応しやすかったですし。相手が現代語でも、歌舞伎での台詞も知っているから、こちらは歌舞伎で返すことが苦なく出来ましたし。そういう意味で、一回古典を身体に入れるって言う事は大切だなと思いました。 —最後に『黒塚』を観たいな、どうしようかなと迷っている方に一言お願いできますか 今回、あの劇場で、あの面子で、あの距離感で、しかも歌舞伎作品を題材とした演目を観れることはなかなかないぞということをもう一度認識していただきたいですね!稽古中に色々試す中で実際の舞台を、僕も観客席側からみるタイミングがあったんですが、普通に楽しんでしまいましたからね。これ本当に見に来ないと損しちゃうな~ |
—今回出演オファーを聞いてどう思いましたか 待ってました!という感じです。実際観劇したのは『勧進帳』(2010)のみなんですけど、他の作品も映像で観させてもらったり、邦生さんと木ノ下先生とは前からお付き合いさせていただいてましたし、木ノ下歌舞伎の活動自体はうらやましいな~と思っていたので。 —今回の『黒塚』は、歌舞伎のなかでもマイナーな演目だと思うのですが、これをやると聞いてどう思いましたか 舞踊劇という情報だけをお聞きしていたのですが、木ノ下先生の解説を聞いたり、映像を観て今回僕が演じる「強力」という役は、歌舞伎なのにアクロバティックなんだとか、自分の少ない歌舞伎の知識の中でも「あ、こんなこともありなんだ」と思いましたね。「強力」は口調もスピーディーだったり、舞台上の空間の中で自由度が高いなと感じました。あとひょうきんな役なので、すぐに愛着がわきました。 —体を動かしてみての感想はいかがでしょうか 振付に関しては完コピしようとすると意外と難しい部分はありましたね。他の役に比べて動きが大きいので、割と簡単なんじゃないかと思ってたんです。でもこんなところで音をとっているんだとか、節をとっているんだとか、歌詞を動きに流用させてたりとか…。今まではフォルムでダンスをやってきたので、これは日本的な、東洋的っていっていいのかわからないですけど、体的な意味でも、役として舞台に立つ上でも、重心の置き方がこれまでにない、新しい経験だなと思いました。まだまだ探れる余地はあるなと思っています。 —杉原演出を体験してみてどうですか 意外なところが結構ありましたね。自分も普段はつくる身なんですが、一年前位にようやく創る上での苦しみや悩みを公の稽古場で言えるようになったんですよ。それまではご法度だと思ってて。でも邦生さんは、こうしていきたいという指針を包み隠さず、俳優達と一緒に体験するっていうのがすごく不思議な感覚でした。同じ時間を、思考と共に皆で共有しているんだなというのを強く思いましたね。 —最後に北尾さんとしての『黒塚』の見所、メッセージをお願いします なんといっても舞踊のところが見所として強い役かなと思います。あと僕の役は全般を通してみても、他の方と比べてちょっとスタンスが違うような印象があるので。作品の中で語られていない、話のかきまぜというか、歯車をがらっと動かすおいしい役どころというか(笑)。ただそのおいしいところと、得意な舞踊の以外の事も背負って立てたらいいなと。これから構築していくと思うんですが、そんな部分が伝わるように舞台に立てたらなと思っています。 |
—オファーを受けた時の率直な感想を伺えますか めっちゃ嬉しかったですよ。だってオーディション受けようと思ってましたもん。 —そうなんですね!では以前から木ノ下歌舞伎はご覧になってくださっていて? 『勧進帳』(2010)のチラシを見てから気になっていて、『義経千本桜』(2012)で初めて観て面白いと思ったんです。邦生さんのやっていることとか興味があったし、歌舞伎も小劇場俳優の中では好きな方ですし、やりたいなと思っていて。 —今回の『黒塚』はいかがですか 最初に完コピ(註・歌舞伎を完全コピーする木ノ下歌舞伎恒例の稽古法)の稽古から入って、それを経てからが本当のスタートっていうのは初めてですし、びっくりしました。稽古してみて完コピの大事さを感じたし、そこからまた暗中模索して、稽古中にあーだこーだしゃべって、一時間とか二時間で急に趣向が変わったりして。そういうのを見て、邦生君はポップなんだけど、なんつったらいいか…急にひらけるんですよ。やっぱり杉原邦生ってすごいクレイジー?クリエイティブ?すごい天才だなって思いました。どういう風につくってるのかなと思ってたので、今回の『黒塚』を体感できてよかったです。 —木ノ下先生についてはどうですか 急な坂でお見かけしてたり白神さん(モモンガ・コンプレックス)から話を聞いていたりして、絶対やばいなと思っていて。気が合うと思ってたんですよ。実際会ってみて、思っていた以上にやばかったです。二人で話すと止まらなくなってしまうので、最近は敢えて距離をとってるくらいです(笑)。 —ちなみに稽古場での木ノ下先生ってどんな感じですか やっぱり現場の空気を和やかにしてくれるし、頭がいい。話が上手いし、間合いとかも。邦生さんとのやりとりとか、普通にテレビ見てるより面白いですよ。古典とか芸能のこととか知識がすごいから勉強になりますし、歌舞伎が遠かったのに近くなりましたし、出会えてよかったですね。 —最後に今回のお役について伺います。今回は唯一の女形、また現行の歌舞伎では人間としては描かれない特殊な役ですが、いま考えていることを教えていただけますか 本当の『黒塚』でも描かれているように「岩手」の哀しさだったり、可愛さ、美しさ、恐ろしさ、いろんな要素があると思います。ただ「鬼だ」ということではなくて、生きている人間がどうしてそのように変わってしまったのかとか、理由がわかるようにすることによって、見やすく、奥行きみたいなのが出せたらいいなと思います。見所はそこだと思うんですけど…あ、ハードルあげちゃった! |
—まずオファーを受けて率直にどう思いましたか 嬉しかったです。僕が初めて拝見したのは『勧進帳』(2010)だったんですが、面白すぎて誰も知り合がいないのにいきなり打ち上げに行っちゃった位ですから。今考えてみたら迷惑な話ですけど(笑)。 —今回、阿闍梨祐慶という主要な役どころですが、意気込みはどうですか 先生(木ノ下)も邦生君も僕のことを買い被ってるんじゃないか、見る目ないんじゃないかと(笑)。 —『黒塚』という演目についてはどうですか 舞踊劇に僕を呼んでいただけるのか、とびっくりしました。でも僕はそんな踊ってないんですよ。偉いから、役柄が。派手なアクションとか皆はあるんですけどね。やれっていわれたらやりますよ。 —最近はまっていることはありますか ガチャガチャが好きです。あとKUNIOの制作さんが差し入れしてくれた阿闍梨餅がすごくおいしかったですね。あと情報番組のヒルオビ?ヒルナンデス?歌舞伎女子にはまってますね。要するに今まで知らなかったこと、例えば木ノ下先生にこの動きはこの意味があるんだよとか教えてもらったりして面白いです。歌舞伎の成り立ちとか、鰻と穴子の違いだとか。日々新しい発見があります。 —最後に意気込みをお願いします 稽古を経ての感想ですが『黒塚』って歌舞伎を観たことのない僕がすごい面白いと思えた演目なんですよ。歌舞伎ってハードル高いじゃんって思っている人とかも、全然大丈夫だし、木ノ下歌舞伎が現代化してつくっているし、とにかく面白いと思うので、来てくださいね! |
—この座組では唯一の木ノ下歌舞伎経験者ですが、久々のご出演ということでいかがですか 単純に嬉しかったです。久々の完コピですが、今の方が難しく感じます。『勧進帳』(2010)に出演したときは楽しいという気持ちばかりでしたが、今回は一回やっているからか、感覚が違う。気になるポイントが変わったというか、やっていて自分が気持ち悪いポイントについて、指標が出来たというか。 —歌舞伎の台詞の発し方もさすが二回目という感じがしますがどうですか しゃべり方に関しては身体の使い方よりはスムーズに入っていけました。でも『勧進帳』のときより細かい点が気になるようになりました。眉毛の動かし方とか、目線とか。 —前回と比べて難しさや、逆に楽になったことはありますか 楽ってことはないですけど、今回は動かないことが多いので、考えてしまいます。こうやって考えちゃっててもいいのかなと考えちゃったり(笑)。もちろん舞台で行われていることに対して考えたりもするし、実際にそれを演じている歌舞伎役者が何を考えているんだろうかとか。『勧進帳』のときは、自分がどう思うかを考えながら割と普通にやれることが多かったのですが、今回は聞いていることが多いから、歌舞伎役者の体感に興味を持つようになりました。 この前、幕見席で歌舞伎座に行ってきました。思った以上に明るいんですね。舞台の後ろの方に座っている人も観察しました。僕たちがお手本にしている映像はしゃべる人がアップになっていますので、フレームアウトしている人が気になっていたんです。でも本当に動かなかった。この前の稽古のとき、リアクションしてみる、生っぽくやってみるというのを試したときにいかにそれが(歌舞伎では)釣り合わないかわかって、だから動かないで止まっているっていうことがいかに成立しているかわかったというか。歌舞伎にすごくフィットしているんだとわかりました。 —共演者の方について伺いたいんですが、いかがですかこの五人は 面白いですね。このメンバーであと何作品かやってみたいくらい。みんな全然発想が違うので。やってきたことも違うし。引き出しとかも全然違う(笑)。 —その五人でつくる『黒塚』は、どこが見所ですか 邦生さんの演出ってスケール感あるっていうか、なんかパンチが効いてるので、その強烈な演出に負けない、それに太刀打ちする出演者がいるというか。邦生さんの演出を僕ら俳優がどう乗りこなしていくかっていう部分が見所じゃないですかね。 —お客様に一言お願いします 現場で試行錯誤しながら、色々試しながら芝居をつくっているので、通常の歌舞伎では僕のやる「大和坊」という役はそんな印象に残らない気がするけど、木ノ下歌舞伎ではどれだけ見たこのない大和坊が立ち上がるのかということも楽しみにしてもらえたらなと思います。 |
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