テラコヤ—竹田出雲ほか『菅原伝授手習鑑』八幕目(俗に寺子屋)よりー

演出・美術|杉原邦生
補綴・原案|木ノ下裕一

作品解説

数ある歌舞伎演目の中でも、上演頻度が高く、歌舞伎役者の専売的演目であり、また人気演目である作品を、従来の〈忠義の物語〉という解釈を覆し、〈親・子〉という現代において様々な問題を孕んだ関係性をテーマに、現代人にとってリアルな作品として上演した。
現行歌舞伎における『寺子屋』の型(演出)はひとつに固定化しつつある。演者によって多少の相違はあるにしても、それほどの差ではない。上演頻度が高い分、整理され洗練されてきたとも言えるが、だからといってそれだけが『寺子屋』にとっての上演法であるとは思わないし、これ以外の演出や解釈が考えられるべきである。現行歌舞伎では『寺子屋』の主題は〈忠臣忠義〉に重きが置かれている。ゆえに近代においては、戦時下の日本政府がこの演目の上演を奨励し、また敗戦後はGHQが真っ先に上演を禁止した演目の一つでもある。その〈忠臣忠義〉は確かに全体に流れる大きなテーマではあるが、はたしてそれだけだろうか。〈忠義〉を強調するあまり、殺されてしまった数多の〈人間像〉が見えなくなってはいないだろうか。近代という時代の中で見過ごされていた多くの視点を掘り起こし、演出を新たにすることでもう一つの『寺子屋』を提示することはできないだろうか。今回はこの演目を〈反体制側による忠義の物語〉という現行歌舞伎とはある意味で正反対の解釈をもって上演した。

舞台写真

©竹崎博人

会場/日程 アトリエ劇研/2007年4月20日〜22日<全4回公演>
出演 谷本健人 小田部みなみ 諸江翔大朗 山村麻由美 池戸宣人 京極朋彦 濱崎彰人 鈴木健太郎 豊山佳美 舟木理恵 芦谷康介 殿井歩
スタッフ 照明:宇野恵理子 音響:荒木優光 衣裳:村田佳奈 小道具:穐月萌 美術製作:濱地真実 音響助手:北島由委 演出助手:和田ながら 舞台監督:米谷有理子 舞台監督助手:金濱歩美 制作:木村悠介 林里恵
協力 アトリエ劇研
主催 木ノ下歌舞伎

 
 

この記事が気に入ったら
フォローしてね!