過去公演

京都×横浜プロジェクト2010『勧進帳』

勧進帳

監修・補綴:木ノ下裕一
演出・美術:杉原邦生

STスポット/2010年5月13日~17日〈全6公演〉
アトリエ劇研/2010年5月27日〜30日〈全5公演〉

photo by Naoko Azuma

演目解説:
歌舞伎の演目の中でも特に人気の高い『勧進帳』。現在は<忠義>の物語として知られ、GHQに上演を禁止された歴史も持つこの演目ですが、そもそも時の権力者である源頼朝に逆らう義経一行の物語であることからも、どちらかと言えば<反忠義>、もしくは<忠義/反忠義>の境界線での物語であることがわかります。またこの問題以外にも、様々な<関=境界>について語られていく演目でもあります。木ノ下歌舞伎では『勧進帳』を「<関=境界>をめぐる物語群」として捉え、新たな視点から作品を構築していきます。

出演:亀島一徳[ロロ]・重岡漠[青年団]・清水久美子・福原冠[国道五十八号戦線]・John de Perczel[空(UTSUBO)]

照明:伊藤泰行 音響:高橋真衣 衣裳:飯田裕幸 舞台監督:大畑豪次郎[MOKK] 
宣伝美術:相模友士郎〈横浜ver.〉・天野史朗[快快]〈京都ver.〉
制作:本郷麻衣

特別協力:急な坂スタジオ
助成:アサヒビール芸術文化財団・芸術文化振興基金
共催:NPO法人STスポット〈横浜公演〉・アトリエ劇研〈京都公演〉

企画・製作・主催:木ノ下歌舞伎


菅専助 ―見知らぬ作家― vol.3『伊達娘恋緋鹿子』

伊達娘恋緋鹿子

補綴・演出:木ノ下裕一
作:菅専助・松田和吉・若竹笛躬

アトリエ劇研/2009年11月16日〜19日
シアターグリーン/2009年12月5日・6日〈F/T09秋「演劇/大学09秋」参加作品〉

photo by Yujiro Sagami

作品解説:
有名な八百屋お七が主人公。舞台にはコンクリートの立方体を思わせる高い台が設置されており、お七を演じる役者は足を鎖で繋がれ、降りることができない。他の役者は台によじ登ったり降りたりしつつ、物語を進行させていく。進行していくにつれ、お七を繋いだ鎖はどんどん短くなり、最後は身動きがとれなくなる。社会的圧力によって死に追いつめられていく女の姿、その末期においてしがらみから解き放たれ自由な精神性を獲得する女の姿を描いた。


菅専助 ―見知らぬ作家― vol.2『桂川連理柵』

桂川連理柵

補綴・演出:木ノ下裕一
作:菅専助

アトリエ劇研/2009年6月5日〜7日

photo by Hiroto Takezaki

作品解説:
中年男・帯屋長右衛門と幼い娘・お半の一夜の過ちから物語が始まる。お半と妻のお絹の間で揺れる長右衛門だが、今世で長右衛門と結ばれないことを悟ったお半は、桂川に身投げに向かってしまう。それを知った長右衛門は突如、お半がかつての恋人・岸野の生まれ変わりであると確信し、お半の後を追い心中してしまう。
格子状になった狭い橋の上で、不条理な世界が展開される。人と人形が入り交じり、いつしか現実と夢が溶け合うような感覚に陥りながら、生と死の狭間で揺れる男の物語を描いた。


菅専助 ―見知らぬ作家―vol.1『摂州合邦辻』

摂州合邦辻

補綴・演出:木ノ下裕一
作:菅専助・若竹笛躬

アトリエ劇研/2008年12月19日〜21日

photo by Hiroto Takezaki

作品解説:
説教節「しんとく丸」、能の「弱法師」、そして寺山修司と岸田理生による「身毒丸」で有名な〈俊徳丸伝説〉を下敷にした作品。
「義理の息子・俊徳に恋をし、どこまでも追いかける玉手御前」「ライ病に侵され醜い姿となってしまう俊徳」、そして超現実的な結末。現在の私たちのリアルとは異なるリアルの地平を持つこの作品を、〈父〉の不在と〈女〉の叛乱として描いた。


舞踊公演『三番叟/娘道成寺』

三番叟

原案・監修:木ノ下裕一
『三番叟』振付:芦谷康介 演出:杉原邦生
『娘道成寺』振付・演出・出演:きたまり

アトリエ劇研/2008年5月22日〜25日〈全○回公演〉アトリエ劇研協力公演
こまばアゴラ劇場/2008年8月22日〜26日〈全○回公演〉こまばアゴラ劇場「夏のサミット2008」参加作品

作品解説:
はじめて舞踊作品を取り上げた。原曲は歌舞伎舞踊『寿式三番叟』『京鹿子娘道成寺』
歌舞伎の構成を残しつつ、振り・演出・空間などを解体・再構築し、新たな解釈を加えてコンテンポラリーダンスとして作り変えた。
一見何の関連もないと思われる二曲であるが、〈祝祭〉〈神/鬼〉というキーワードで読み解くことで、互いに応答しあう作品となった。

「三番叟」
出演:芦谷康介 磯和武明 京極朋彦
衣装:清川敦子 演出助手:堤満美 狂言指導:茂山良暢

photo by Hiroto Takezaki

作品解説:
歌舞伎舞踊の「三番叟」は、能の〈翁〉を模した演目であり、大枠の作品構成や登場人物は、能から譲り受けて基本的には変わりはない。天下泰平や五穀豊穣を予祝し、〈翁〉〈千歳〉〈三番叟〉の順に三人が舞うという内容である。しかし重要なのは、能の「翁」は名の通り〈翁〉が主役であるのに対し、歌舞伎では〈三番叟〉を主役に据えたところである。能では最後に登場する三番叟を膨らませ、歌舞伎舞踊的身体に基づき、軽妙な芸に昇華させ、またそこから「廓三番叟」「舌出し三番叟」「操三番叟」など一連の「三番叟物」が生まれた。面白いことに、一説によると、能における主役の〈翁〉も、ルーツをたどればその先行芸能において真面目な芸の後に登場し滑稽な芸を披露する老人役であったらしい。ちょうど能の「三番叟」が狂言方によって勤められ、滑稽さを受け持っているように、かつてはその位置に〈翁〉も居たのである。
そして日本芸能史上連綿と続くこの構造こそ重要なのである。そこには、それまであった〈もの〉の何を肯定、継承し、何を否定し新しく創り直していくのかという、はっきりとした意思の表明を見て取ることができるからである。

「娘道成寺」
音楽:亀田真司 伊藤栄治 栗原ペダル
衣装:岡部典子 振付助手:松尾恵美

photo by Tomoaki Noda

作品解説:
正式な外題は『京鹿子娘道成寺』。能の「道成寺」を原作にしており、宝暦二年に「娘道成寺」を初演した初代中村富十郎は能役者と深い親交があり、芸の秘伝を教わったという逸話もいくつか残されている。数ある「道成寺物」と呼ばれる作品群の中で最も有名な舞踊局であり、そこから「二人道成寺」や「奴道成寺」などの派生曲も生まれた。歌舞伎舞踊屈指の大曲とされ、初演以来絶えることなく上演され続けている。また「娘道成寺」を踊ることを切望しながら、その家柄や芸風の違いから果たせなかった役者達が抱いた「道成寺コンプレックス」ともいえる感情が『鷺娘』や「双面」などの名作舞踊を生み出した。
『娘道成寺』は能の『道成寺』同様、和歌山県の道成寺(安珍清姫)伝説を下敷きにしているが、舞台で繰り広げられるのは、その後日譚である。つまり、鐘の中の男を執心のあまり焼き殺した女の亡霊が、白拍子に化けて(又は憑依して)、道成寺という場所に〈再来〉し、そこで己の過去の過ちを再現してみせるのである。『娘道成寺』が上演されるたびに、亡霊は何度も何度も〈再来〉する。この〈再来〉こそが、古典という過去の〈物語〉と現代の我々を繋ぐ役割を果たしているのである。

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美術:杉原邦生 照明:魚森理恵 照明操作:工藤花之助 音響:齋藤学
美術製作:泉沙央里 坂田奈美子 舞台監督:米谷有理子

WEBデザイン:児玉悟之 制作:木村悠介 制作助手:浜名綾子 前川鈴香

協力:アトリエ劇研 KIKIKIKIKIKI 土屋和歌子

助成:独立行政法人日本万国博覧会記念機構(アトリエ劇研公演)
京都芸術センター制作支援事業

企画制作:木ノ下歌舞伎 :(有)アゴラ企画 こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画 こまばアゴラ劇場


『テラコヤ』

テラコヤ

—竹田出雲ほか『菅原伝授手習鑑』八幕目(俗に寺子屋)よりー

演出・美術:杉原邦生
補綴・原案:木ノ下裕一

アトリエ劇研/2007年4月20日〜22日<全4回公演>

Photo by Yujiro Sagami

作品解説:
数ある歌舞伎演目の中でも、上演頻度が高く、歌舞伎役者の専売的演目であり、また人気演目である作品を、従来の〈忠義の物語〉という解釈を覆し、〈親・子〉という現代において様々な問題を孕んだ関係性をテーマに、現代人にとってリアルな作品として上演した。
現行歌舞伎における『寺子屋』の型(演出)はひとつに固定化しつつある。演者によって多少の相違はあるにしても、それほどの差ではない。上演頻度が高い分、整理され洗練されてきたとも言えるが、だからといってそれだけが『寺子屋』にとっての上演法であるとは思わないし、これ以外の演出や解釈が考えられるべきである。現行歌舞伎では『寺子屋』の主題は〈忠臣忠義〉に重きが置かれている。ゆえに近代においては、戦時下の日本政府がこの演目の上演を奨励し、また敗戦後はGHQが真っ先に上演を禁止した演目の一つでもある。その〈忠臣忠義〉は確かに全体に流れる大きなテーマではあるが、はたしてそれだけだろうか。〈忠義〉を強調するあまり、殺されてしまった数多の〈人間像〉が見えなくなってはいないだろうか。近代という時代の中で見過ごされていた多くの視点を掘り起こし、演出を新たにすることでもう一つの『寺子屋』を提示することはできないだろうか。今回はこの演目を〈反体制側による忠義の物語〉という現行歌舞伎とはある意味で正反対の解釈をもって上演した。

出演:谷本健人 小田部みなみ 諸江翔大朗 山村麻由美 池戸宣人 京極朋彦 濱崎彰人 鈴木健太郎 豊山佳美 舟木理恵 芦谷康介 殿井歩

照明:宇野恵理子 音響:荒木優光 衣裳:村田佳奈 小道具:穐月萌 美術製作:濱地真実
音響助手:北島由委 演出助手:和田ながら
舞台監督:米谷有理子 舞台監督助手:金濱歩美
制作:木村悠介 林里恵

協力:アトリエ劇研
主催:木ノ下歌舞伎


『yotsuya-kaidan』

yotsuya-kaidan

—鶴屋南北『東海道四谷怪談』三幕目(俗に髪梳きの場)よりー

演出・美術:杉原邦生

初演:アトリエ劇研/2006年5月7日・8日<全3回公演>
再演:こまばアゴラ劇場/2007年8月17日〜19日 こまばアゴラ劇場〈夏のサミット2007〉参加作品

photo by Yujiro Sagami

作品解説:

現行歌舞伎でも頻繁に上演されている演目であるが、様々な都合によりもはや改作に近い状態である。それにより、解釈も恐怖芝居・怪談芝居に重きが置かれているが、「四谷怪談」の主題はそれだけではない。

今作では現行歌舞伎が切り捨ててしまっている、鶴屋南北が描かんとした「四谷怪談」の主題を再考し、舞台化するため、文政八年の『四谷怪談』初演当時に一番近いと思われるテキストを使用した。(新潮社『新潮日本古典集成 東海道四谷怪談』郡司正勝・校注)

舞台全面は荒廃した定式幕によって覆われ、それがめくり上げられると、台に乗せられ現代の衣服を纏った俳優が押し出されてくる。彼らは歌舞伎の台詞を現代的な抑揚で語る。俳優はそれぞれに割り当てられた台から降りることはなく、常に正面を向いて演技し、他の俳優を見ることもなければ、触れることもない。小道具の受け渡し等の俳優同士の接触は、一人の黒衣が仲介して行う。

幕の前と後、二重の空間構造によって、見えない〈チカラ〉に突き動かされていく人々の運命が描きだされた。

 

(初演時)
出演:伊藤香織 岩井千枝 植松昂 川口聡 鈴木健太郎 長尾晶子 西崎幹人 濱見彰映 諸江翔大朗 吉井貴則 磯和武明

照明:村上五月 音響:渡部綾子 衣裳:山本容子 美術製作:田中倫子 演出助手:木ノ下裕一
舞台監督:川島玲子
制作:木村悠介 土屋和歌子
宣伝美術:山本瑠美子
企画:木ノ下裕一 木村悠介 松山昂

主催:木ノ下歌舞伎


『四・谷・怪・談』

四・谷・怪・談

—鶴屋南北『東海道四谷怪談』三幕目(俗に髪梳きの場)よりー

演出・補綴:木ノ下裕一

アトリエ劇研/2006年10月28日・29日<全4回公演>

photo by Sayo Nakayama

作品解説:
前作『yotsuya-kaidan』と同様の演目を取り上げ、木ノ下裕一演出によって上演した。これは、同じ本であっても、演出家が変われば〈見え方〉や作品から受ける〈メッセージ性〉が異なるということを証明することを通じて、古典にとって如何に再検討が必要であるかということを提示することができると考えたからである。それは、あらゆる角度から歌舞伎にアプローチするという木ノ下歌舞伎の行動指針にも大きくかなう。
演出に際し、この演目を歴史的・芸能的視座を持って考察した結果、「普通に人間が普通に生きていたつもりが、各々の胸の内に存在する一抹の〈利己心〉のために、釦の掛け違いが生じ、全員で一つの悲劇に向かう潮流を起こしていく一種の群像劇」と読み取った。
柵状の壁に囲まれた部屋の内側で物語は展開する。壁の隙間からは、その壁の外側にいる人々の姿が垣間見える。さらに〈悲劇のヒロイン・お岩〉と〈悲劇の元凶・お梅〉を一人の俳優が演じることで、物語上では表裏の関係にあるものが一つに重なり、人々が抱える表裏の感情と各々の運命の交錯に翻弄される人々を描き出した。

出演:岩田絵梨 植松昂 尾上一樹 川口聡 桐澤千晶 中川昌典 長尾晶子 三間旭浩 宮澤知宏

美術:杉原邦生 照明:高原文江 照明操作:松田麻里 音響:渡部綾子 衣裳:山本容子
ヘア・メイク:富松悠 小道具:木岡菜津貴 美術製作:田中倫子 舞台監督:関田彩乃
制作:木村悠介

主催:木ノ下歌舞伎