【義経千本桜】俳優インタビュー①|大石将弘

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『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第一回は大石将弘さんです。

2016年5月10日 急な坂スタジオにて収録

歌舞伎の“エンタメ”作品、『義経千本桜』との出会い

木ノ下歌舞伎を観たのは『勧進帳』からですね。最初は歌舞伎を小劇場でということで、東京ではこういう演劇があるのか!と思いました。それに元の話も知らなかったし、弁慶は外国人だったし(笑)どう観たら良いかわからなかったともいえます。でも演出も衣裳も音楽も現代的だし、とても印象的でした。その後『義経千本桜』を観たんですが、特に「渡海屋」がすごく面白かったんです。話は全然知らなかったんですけど、テンションが上がるというか、エンターテインメントでしたよね。爆音の音楽で始まって、照明がバーンって入って、そこに人が立っていて、楽しくてかっこよかった。話も少年漫画的というか、わかりやすかったので。僕は歌舞伎の文脈に追いついてないこともあって、歌舞伎自体を割と高尚なものとして見ちゃうんですが、そのときは「歌舞伎のエンタメ作品をみた!」と気持ちが上がる一幕でしたね。

型のコピーでなく、芝居のコピーをするということ

完コピが始まった当初は、どうやったら自分に出来るか悩みましたね。歌舞伎だと、舞台の迫力とか歌舞伎俳優の説得力によって成り立っている気がしていたので。でも、完コピ発表会の何日か前に、木ノ下先生の演出が入ったとき「芝居として面白くしたい」といわれて。「あ、そうだ、これ“芝居”をするんだよな。」と気がついたんです。なんというか、歌舞伎は<型の芸能>だというイメージがあって、完コピは身体の形(かたち)とか、発声の仕方とか、決まっていることをコピーするものだと思っていたんですけど、芝居をコピーするんだったなと。歌舞伎の映像もよく見ると、型といいつつ感情がこぼれていたりしますしね。
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既存イメージにとらわれない役作りについて

今は渡海屋の前段までを勉強して、もし自分がその状況に置かれたらどのくらい嫌かな、大変かなと考えてやっているので、(今回演じる自分の)役が果たしてどうだったかというところはまだわからないですね。前段は、今までその役のイメージにはないような、人間らしい感じでつくっているのですが…本番までに、自分の中で<通底する役の像>とは何か、改めて考えていきたいですね。

ooishi大石将弘 Oishi Masahiro[ままごとナイロン100℃]

1982年生まれ、奈良県出身。2010年よりままごと、2014年よりナイロン100°Cに所属。2015年スイッチ総研を立ち上げ。日本各地において劇場内外を問わない演劇作品に参加。主な出演作に、ままごと『スイングバイ』『朝がある』、マームとジプシー『Kと真夜中のほとりで』、FUKAIPRODUCE羽衣『女装、男装、冬支度』、範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』、スイッチ総研『下北沢演劇祭スイッチ』など。
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