【義経千本桜】俳優インタビュー②|大川潤子

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『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第二回は大川潤子さんです。

2016年5月10日 急な坂スタジオにて収録

木ノ下歌舞伎との出会い

木ノ下歌舞伎は、以前から名前は聞いていたんですが、2015年に初めて『黒塚』をアゴラ劇場で観て感動しました。最初は割と口語だったのが、いきなり歌舞伎の言葉になったりして、それで否応なく観客もテンションがあがるというか。すごく印象的でしたね。

完コピを通して気付いた、歌舞伎とは

今回、歌舞伎の言葉と口語の使い分けを実際やってみて思ったんですけど、人が死ぬとか、ドラマチックなことは歌舞伎の言葉だとスッと入っていくんですよね。口語の場合、死ぬシーンって、やっぱりちょっと難しいと思うんですよ。実際に、「そこで人、死んでないよね。俳優さんがやっているんだよね」って思ってしまうというか。でも歌舞伎ではそこが予めクリアされていて、例えばですけど、死ぬことは前提で、それをどう見せるかという演劇なんだなと。それがすごく面白いし、歌舞伎のいいところだなって思いながら稽古をしています。
動きに関しても、正座文化から遠ざかってしまっている世代なので、立ち居振る舞いもいちいち難しいなと実感していますね。今まで出演した舞台でも、着物を着崩した衣裳とかはあったんですけど、実際着物をきちんと着てお芝居するのは初めてで。座って、立ってを繰り返すだけで裾がバサバサになるとか、そういう単純なところから大変だと思いました。
役に関してですが、自分の役がというか、その時代の<女性>は「右往左往するしかないという生き方」を強いられるのが可哀想だと思いました。死しか選べないということも含め、時代も設定も、今の自分にとっては現実味がないですが、これまでも役に対して自分だったらこうするとか、置き換えて考えたこともなかったので、やり辛いなとかは思いませんでしたけどね。
完コピも大変というより、面白かったです。映像を観まくって聞きまくってを繰り返していくと、細かいところまで次第にみえていくんですよ。今まで大きな動きしか目に入らなかったのが、「ここでこの人、こんなことをしてたんだ〜細かいなぁ!」と思うことばかりで。

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本番への期待

で、そこまで積み上げたものを今は崩していて(笑)今はすごく沢山のネタを誂えていっている段階なので、それを演出の多田さんがどう料理していくんだろうなと思いながらやっています。多田作品にはこれで4作品目の出演なんですが、色んな場面が繋がってないようでいて、こことここが、あ、繋がっていたんだ!ということがよくあるんです。いずれ一つの作品になるんでしょうけど、今は想像がつかなくて、その想像のつかなさを楽しんでいます。

okawa大川潤子 Okawa Junko

1973年生まれ、東京都出身。千葉大学でデザインを学びつつ演劇を始め、劇団三条会に参加。2012年退団後はキラリふじみ・レパートリー『あなた自身のためのレッスン』『奴婢訓』、東京デスロック『東京ノート』などに出演。
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