義経千本桜―渡海屋・大物浦―

平安時代末期。源氏の武将・源義経みなもとのよしつねは、6年間におよぶ源平合戦で大活躍をみせ、敵対する平氏を屋島で撃破する。しかし、英雄・義経には思わぬ不遇が待っていた。兄・源頼朝みなもとのよりともに不信感を抱かれ、鎌倉に入ることを禁じられたうえ、謀反むほんの疑いをかけられてしまったのだ。一転して追われる身となった義経はなんとか潔白を証明しようとするが、家来の武蔵坊弁慶むさしぼうべんけいが頼朝からの追手と衝突したことでさらに苦しい状況に立たされる。そこで義経一行は、ついに九州への都落ちを決めるのだった。
嵐の日、義経一行は九州への船を頼りに、大物だいもつ[現在の兵庫県尼崎市]の渡海屋(船問屋)を訪れていた。雨が上がるまで渡海屋に泊まっていた義経たちだったが、そこに頼朝からの追手が現れる。主人の銀平ぎんぺいや女房のおりゅうは追手を追い払い、すぐに船を出すと義経に申し出るが、実は銀平たちには計画があって……。

人物相関図