【東海道四谷怪談ー通し上演ー】俳優インタビュー17|小田 豊

『東海道四谷怪談ー通し上演ー』公演に向けて、
出演者の生の声をお届けします。
第17回は小田 豊さんです。

2017年4月25日 森下スタジオにて収録

気になっていた木ノ下歌舞伎に参加して

木ノ下歌舞伎の存在は、「歌舞伎を完全コピーしてから稽古する」という手法を用いる団体だと聞いて、前から気になっていたんですよ。何かの記事で読んで、「面白いのが出てきたな」と思っていて、ちょうど木ノ下君が演出助手でついてくれる現場(2016年『繻子の靴』)でご一緒することになったので、会うのが楽しみでしたね。
歌舞伎については、時代も時代だったので、卒論のために歌舞伎の戯曲を読んだり、学生時代から舞台をちょこちょこ観たりしていました。小劇場が、南北の書く作品のエネルギーに惹かれている時代でもあったし。
完コピという手法を実際にやってみて、自分では完全に移せたかはわからないけど、やって面白かったですよ。歌舞伎役者さんが、ちょっと顔を上げたり、手をあげたり、それが心理というと大げさだけど、意味をきっちり踏まえているなって感じて。形(かたち)というのはすごいなと。コピーしない限りは、そういうことをほとんど見落としていたと気がつきましたね。僕自身も、歌舞伎や能の形や様式に興味があったこともあって、発表会で共演者の完コピを見てもそうだし、自分がやっていても発見がありました。

太鼓持ちの尾扇、響かない人・孫兵衞

(演じる)尾扇という役は、太鼓持ちだよね。医者といっても、今でいう医者とは違うし、基本どんな時でも伊藤家を持ち上げる。お梅に向かって「恋わずらいです!」なんてわかりきったことを言っちゃうような人。基本的に伊藤家のシーンは、尾扇によって空気が変わればと思います。もう一つの役の孫兵衛は、イメージとしてはちょっとやつれていて、げっそりした体型だと思うんですが、今からそれに近づけるのは無理なので(笑)。お熊さん(伊右衛門の母)と孫兵衛は再婚しますけど、なんで結婚したんだろうと思いますよ。お互い、きっと一人でいると無宿者になってしまう、家がなくなってしまうからなんでしょうか。それに孫兵衛って一途でいい人だけど、ちょっと鈍感な人なのかなと思います。浪宅の場面で、伊右衛門に怒られても響いてないというか。それで伊右衛門も余計にイライラしてしまうんじゃないかなと思ったりします。
杉原くんの演出は、稽古していていろいろ面白いです。エネルギーがあるし、歌舞伎そのものに対しても“ある見方”があって、お客さんに伝えたいことがあるんじゃないかなと思うので。木ノ下くんも若いのに武智鉄二で博士論文を書いたりして、本当に面白いですよね。僕も武智鉄二の本を古本屋で捜し歩いて読んでました。

濃密な6時間をお届けします

ただの6時間は長いけど、この芝居を見ているとあっという間だと思います。濃密な6時間なので、長時間だからヘビーということではなく、違う意味でヘビーな芝居だとは思うけど、退屈な時間ではないんじゃないかな。この前9時間の芝居(『繻子の靴』)やった時も、お客様は観て、聴いてくれていたし。だからそういう意味では、歌舞伎をちょっと知っているとより面白いけど、そうじゃなくても、この作品を観て歌舞伎に興味を持っていただければ嬉しいですね。

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