稲垣 貴俊 - Author -
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桜姫東文章桜姫東文章、あるいは怒りのデス・ロード
世の中には、血の出る暴力とそうでない暴力がある。ぶん殴られて血が出たとか、いや内出血で済んだとか、そういうことではない。「でも実際、内出血のほうが危ないらしいよ」とかいう話でもない。肉体を傷つける暴力と、魂を傷つける暴力の話である。 ... -
稲垣貴俊歴史の再現、他者への想像―『渡海屋・大物浦』と『アクト・オブ・キリング』―
同じ過ちを絶対に繰り返すまいと強く念じたにもかかわらず、まんまと同じ過ちを繰り返してしまうことがある。次の日は早起きだと分かっているのに夜ふかしをする、仕事が立て込んでいる時にかぎって掃除を始める、ついつい今夜もデザートを買って帰って... -
糸井版摂州合邦辻真相は〈藪の中〉、ミステリ『摂州合邦辻』の解けない謎
のコラムでは『摂州合邦辻』終盤の展開に言及しています。稲垣貴俊「将来を約束されたはずの青年が、突如として謎の病にかかって失踪した。継母である女は青年を愛し、同じように姿を消す。青年を追い込んだものはなんだったのか、なぜ継母は姿を消さねば... -
娘道成寺【娘道成寺】〈変身〉と不安の物語――木ノ下歌舞伎『娘道成寺』によせて
稲垣 貴俊 「ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた」。かの有名な文学作品、フランツ・カフカ著『変身』の第一文です(中井正文訳...
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